2020年までに世界成長率0・5ポイント低下 貿易対立でIMF予測
【ワシントン=塩原永久】IMF=国際通貨基金のオブストフェルド調査局長は16日の記者会見で、トランプ政権が準備を進める自動車・同部品への輸入制限などが発動された場合、世界の経済成長率を2020年までに0・5%程度、下押しするとの見通しを示しました。
IMFは同日、世界経済見通しを改定し、成長率予想を18、19年とも3・9%で据え置きました。会見でオブストフェルド氏は、アメリカ政権がすでに発動した鉄鋼輸入制限や、知的財産侵害を理由とする対中制裁は「(対象が)小さな範囲にとどまる」として、短期的な成長率予想に大きな影響を及ぼさないとの見解を示しました。
一方で同氏は、貿易対立が「企業景況感に悪影響を及ぼす結果」として、中・長期的に成長率を押し下げる恐れがあると指摘しました。アメリカ政権が関税適用を視野に調査を進める輸入車などへの輸入制限や、中国に対する2千億ドル規模の追加制裁が実施された場合、20年までに約0・5%の下押し要因になるとの見通しを示しました。
ただ、オブストフェルド氏は、「貿易相手からの報復措置が集中する結果として、アメリカが特に影響を受ける」と指摘しました。